奈川・横浜の中高年シニア婚活の専門、結婚相談所Allegroの福徳です。
人生経験を重ねたシニア世代なら、お相手の立場を考え、穏やかに話し合うことができる。
私も、どこかでそのように思っていました。
仕事や家庭、人間関係の中で、さまざまな経験をしてきた私たちです。
若い頃よりも人に寛容になり、考え方の違いも受け入れられるようになっているはずです。
ところが、実際の婚活では、人生経験を重ねてきたからこそ、難しくなることもあります。
「これからの人生では、もう失敗したくない」
「今度こそ、穏やかな結婚生活を送りたい」
その願いが強くなるほど、自分の理想と違うお相手の言動が気になり、ときには責めるような言葉が出てしまうことがあります。
今回は、二つの交際を振り返りながら、シニア世代の婚活における「言葉」について、一緒に考えてみたいと思います。
※実際の婚活事例をもとに、個人が特定されないよう内容の一部を変更しています。
「私でなくてもいいのですね」と感じた一言
60代の男性・Aさんは、真面目で行動力があり、結婚にも前向きな方でした。
お見合いで出会った女性とも順調に交際が進み、二人は毎週のように会っていました。
一緒に食事をし、散歩をし、お互いのこれまでの人生についても話せる関係になっていました。
交際が深まるにつれて、話題は結婚後の暮らしへと進んでいきました。
住む場所やお金の使い方、趣味の時間、家族との関わり方。
二人で将来を考え始めたからこそ、それまで見えなかった考え方の違いも、少しずつ表れるようになりました。
ある日のデートでも、二人は結婚後の生活について話していました。
けれども、女性はAさんの考えにすぐには同意しませんでした。
女性にも、長く大切にしてきた生活があり、簡単には変えられない事情がありました。
それは理解できているつもりですが、Aさんには、女性が歩み寄ろうとしていないように見えたのでしょう。
何度話しても意見がまとまらないことに、Aさんは次第に焦りを感じ始めました。
「これだけ会っているのに、なぜ分かってもらえないのだろう」
そして、つい強い口調で、このような意味の言葉を口にしてしまいました。
「ここまで話し合っても難しいのであれば、無理に○○さんでなければならない理由ありません」
Aさんは、自分の本気を分かってほしかったのかもしれません。
もう少し歩み寄ってほしいという気持ちもあったのでしょう。
ところが、お相手女性の心には、違う意味で届きました。
「私でなくてもいいのですね」
「気に入らなければ、別の人を探せばいいと思っているのですね」
女性は、その場では大きく反論しませんでした。
けれども、その一言が心から離れなくなりました。
その後、Aさんが優しく接しても、女性は以前のように安心して笑うことができなくなってしまいました。
「また意見が合わなければ、ご縁を終わらせると言われるのではないか」
「結婚後も、この人の考えに従わなければならないのではないか」
女性は、Aさんの一言から、結婚後の二人の姿を想像してしまったのです。
やがて女性から、交際終了の申し出がありました。
Aさんにとっては、一時の感情から出た一言だったかもしれません。
けれども女性にとっては、これからの生活に不安を感じる、忘れられない一言になってしまいました。
「穏やかな人」が「何もできない人」に変わったとき
もう一つは、60代の女性・Bさんのお話です。
Bさんは明るく行動力があり、会話も上手な方でした。
仕事も家のことも自分で考え、てきぱきと進めてきました。
お店を探すことも、予定を立てることも得意です。
そんなBさんがお見合いで出会ったのは、穏やかで優しい男性でした。
男性は口数こそ多くありませんでしたが、Bさんの話を笑顔で聞き、何度もうなずいてくれました。
お見合いの後、Bさんはうれしそうに話していました。
「とても穏やかな方でした。一緒にいると安心できそうです」
男性からも交際希望のお返事が届き、二人はプレ交際へ進みました。
ところが、何度か会ううちに、Bさんは少しずつ物足りなさを感じるようになりました。
・男性からの連絡が遅い。
・デートの場所をなかなか決められない。
・お店の予約が得意ではない。
・考えてから話すため、会話のテンポもゆっくりです。
最初は「穏やかな人」と感じていた男性が、いつの間にか「何も決められない人」に見えるようになっていました。
ある日のデートで、男性が待ち合わせ場所を勘違いしました。
大幅な遅刻ではありませんでした。
けれども、Bさんの中にたまっていた不満が、一気にあふれてしまいました。
「前にも確認しましたよね。なぜ、間違うのでしょうか」
男性が事情を説明しようとすると、Bさんはさらに言葉を重ねました。
「このようなことが続くようでは、これから一緒に生活していくのは難しいと思います」
男性は謝りました。
その後、二人は食事をしましたが、会話は続きませんでした。
男性の表情から笑顔が消え、Bさんも気まずさを感じながら、その日のデートを終えました。
後日、男性の相談所から交際終了の連絡が届きました。
男性は、自分の苦手なことや失敗を、結婚後も強く責められるのではないかと感じたそうです。
Bさんは、男性を傷つけたかったわけではありません。
結婚を考えるお相手だからこそ、もう少ししっかりしてほしかったのでしょう。
ただ、その思いを伝える言葉が、男性の心には厳しく届いてしまいました。
人生経験があっても、すれ違ってしまう現実
AさんもBさんも、お相手を大切に思っていなかったわけではありません。
🔴Aさんは、結婚に向けて真剣に話し合いたかった。
🔴Bさんは、安心して生活を任せ合える人であってほしかった。
どちらの気持ちも、分からないものではありません。
それでも、お相手には、
「自分の意見に従わなければ、大切にしてもらえない」
「できないことがあれば、責められる」
と伝わってしまいました。
人生経験を重ねていても、このようなことは起こります。
むしろ、長い年月をかけて自分なりの生活をつくってきたからこそ、自分にとっての「普通」や「こうあるべき」が、はっきりしているのかもしれません。
これまで一人で何でもこなしてきた人は、時間をかけて考えるお相手に、もどかしさを感じます。
長く家族を支えてきた人には、結婚や夫婦について、自分なりの考えがあります。
過去の結婚で傷ついた経験があれば、「同じことを繰り返したくない」という思いも強くなります。
人生経験が豊富であることと、お相手との違いを受け入れられることは、必ずしも同じではないのかもしれません。
お相手に「自分の理想」を重ねてしまう
交際が進み、結婚を意識するようになると、
「もう少し積極的に行動してほしい」
「私の気持ちを察してほしい」
「結婚するなら、このくらいはできる人であってほしい」
と、お相手への期待が少しずつ大きくなることがあります。
自分が思い描いている夫婦像に近づいてほしい。
自分の求める夫、妻であってほしい。
その願いが強くなるほど、
「私が教えて、お相手が変わっていけば良い」
「この人の考え方をしつけ直さなければ」
という気持ちに変わってしまうことがあります。
最初は「穏やかで優しい人」と感じていたのに、いつの間にか「決断力がない人」に見えてくる。
「自分の考えを持っている人」だと思っていたのに、「頑固で歩み寄れない人」に感じてしまう。
お相手が変わったのではなく、自分の理想という物差しで、お相手を見るようになっているのかもしれません。
一方で、お相手にも、これまで歩んできた人生があります。
長く続けてきた生活習慣や、大切にしている価値観があります。
結婚に向けて希望を伝え合い、二人で歩み寄っていくことは必要です。
けれども、一方がお相手を教育し、自分の理想に合わせようとすることと、二人で歩み寄ることは、少し違うように思います。
「私は、このような夫婦になれたらうれしいです」
「あなたは、どのような結婚生活を望んでいますか」
自分の理想だけを伝えるのではなく、お相手の思いにも耳を傾けながら、二人の夫婦像を一緒に考えていく。
そのような会話ができたら、見えてくるものも変わるのではないでしょうか。
言葉が少し違っていたら
もしAさんが、あの日、
「あなたとのご縁を大切にしたいので、お互いに無理のない方法を、もう少し一緒に考えたいです」
と伝えていたら、女性はどう感じたでしょう。
Bさんが、待ち合わせ場所を間違えた男性に、
「場所が分かりにくかったですね。次は、お互いにもう一度確認しましょう」
と声を掛けていたら、その後の交際はどうなっていたでしょう。
もちろん、言葉を柔らかくすれば、すべてのご縁がうまくいくわけではありません。
話し合っても、どうしても考え方が合わないことはあります。
何度伝えても、歩み寄れないこともあります。
一緒にいることが難しいと感じたなら、お相手を自分の理想に変えようとするよりも、
「私たちは、大切にしたいことが少し違うのだと思います」
と、静かにご縁から離れる選択もあります。
お相手を責めたり、自信を失わせたりするまで言葉を重ねなくても、次のご縁へ進むことはできます。
言った言葉は、消しゴムでは消せません
Aさんの言葉も、Bさんの言葉も、言った本人にとっては、一時の感情から出た一言だったのかもしれません。
けれども、受け取った人の心には、その後も残り続けました。
「そのようなつもりではなかった」
「本当は大切に思っていた」
あとからそう説明しても、最初からなかったことにはできません。
言葉は、一度口にしたら、消しゴムで消すことはできないのです。
イライラしたときほど、すぐに言葉にせず、少しだけ時間を置くことができたら。
今伝えようとしているのは、自分の気持ちなのか。
それとも、お相手を自分の思うとおりに動かすための言葉なのか。
そこに気づくだけでも、二人の間に流れる空気は変わるのかもしれません。
シニア世代の婚活で、これから考えていきたいこと
長く生きてきたからこそ、私たちにはそれぞれ、自分なりの暮らし方や考え方が身についています。
そして、お相手にも同じように、歩んできた年月の中でつくられた、その人なりの形があります。
その二つを重ねようとしたとき、ぴったりとは合わない部分が出てくるのは、自然なことなのかもしれません。
そこで、どちらかが相手に合わせるのか。
それとも、お互いの形を少しずつ見せ合いながら、二人にとって心地よい暮らし方を探していくのか。
今回の二つの交際を振り返ると、言葉の伝え方が少し違っていたら、その後の会話も変わっていたのだろうかと思います。
結婚相手を探すとき、私たちはつい、条件や価値観が合うかどうかに目を向けます。
けれども、本当に知りたいのは、違いが見えたときにどのような会話ができる人なのか、ということなのかもしれません。
そしてそれは、お相手だけに求めることではなく、自分はどのような言葉を掛ける人でありたいのかという問いにもつながります。
耳に優しい言葉で気持ちを伝えられたら、二人の間に、もう少し違う時間が流れていたのではないでしょうか。
私にも、はっきりとした答えがあるわけではありません。
ただ、二つの交際を振り返りながら、人生の後半を一緒に歩くお相手との間に、どのような言葉を重ねていけたらよいのだろうと、改めて考えています。
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